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身体も、心も、全部。 なんの契りもないこの関係で、成田は全てを俺に差し出してくる。 「イチさんが、好きなんです」 寝る間際。 求めていなくても、そう呟いた成田に 「お前、バカだな」 ――安心する。 本当は自分も同じ気持ちだ、って言ってやりたいのに。 しがらみのせいで、どうしても言えない。 「イチさん、日本は一夫多妻制じゃないよ?」 笑ってそう言った成田の真意が透けて見えて。 「ああ、一夫多妻制ね。 それ、いいんじゃね?」 強がって余計な事を口にした それでも、こんな俺の不器用な言葉でも どっかで成田ならわかってくれてると、自惚れていた。
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