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柔らかそうに髪がカールしていて、こんなんだったっけ。
ってほどに艶々してる顔。
長い睫毛はエクステなのか、顔のパーツがやけにでかく見えて。
そんな綺麗にして誰に見せたいわけ。
今日は俺との約束なんてないし
「濃い、――ですか」
助けを求めるように、困った顔で成田が俺を見た瞬間
身体に沸き起こる、光悦した感情
「さぁ」
冷たくつっぱねて。
キツい言葉を投げつければ泣けつけるほど、苦しそうに無理して笑う、その成田の顔を見て。
やっと。
平常心を取り戻す。
俺が好きで、どうしようもなくて。
ずっと、もっと四六時中、俺のことばっかり考えてりゃいいんだ。
「……そうですか」
落ちた声と共にかすかに聞こえた、成田の溜め息。
俺は、愛情の計り方がわからない
こうやって
相手に傷をつけることでしか。
――所有してる、って実感を得られない
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