◆ #2

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「……帰るか」 「――ごめんなさい」 田所の声に返事をせずに、パソコンをシャットダウンする。 「すみません、お先に失礼します」 「お疲れさん」 出野課長にそう声をかけて、足早にフロアを横切る チラリとみた成田のデスクには、成田の姿がなかった かわりにいつものように目を光らせていたあの女が、睨みつけるように俺を見ていて視線がぶつかる ――わかってるよ 最悪なのは、全部俺だろ。 「……一哉」 足早に歩く俺の後ろを小走りに歩く田所の足音が響く 俺は一度も振り返ろうとせずに、無言で会社を出た
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