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「……帰るか」
「――ごめんなさい」
田所の声に返事をせずに、パソコンをシャットダウンする。
「すみません、お先に失礼します」
「お疲れさん」
出野課長にそう声をかけて、足早にフロアを横切る
チラリとみた成田のデスクには、成田の姿がなかった
かわりにいつものように目を光らせていたあの女が、睨みつけるように俺を見ていて視線がぶつかる
――わかってるよ
最悪なのは、全部俺だろ。
「……一哉」
足早に歩く俺の後ろを小走りに歩く田所の足音が響く
俺は一度も振り返ろうとせずに、無言で会社を出た
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