◇ #2

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そして成田が辞める一週間前のこと。 結局、出張続きで成田とはタイミング合わずじまい。 連絡をとろうとしても、今さらもう固まった指先は思うようには動かない。 何せか、成田に関してだけは。 もう、異常としか言いようがない。 こんな風になった事がいまだかつてないだけに、自分でもよくわからなくて。 そして、成田からの連絡も全く、ない。 夢でも見てるんだろうか、そう思っても。 終電で、接待終わりに帰宅。 電車を降りる瞬間。携帯が鳴り響く。 背広のポケットから携帯を取りだし、 ディスプレイの表示は【美紗緒】 思わず顔がほころんで、携帯を握りしめて早く駅に着かないかと久しぶりに心がおどる、――のも数秒だった ――違和感。 それは、単なる勘でしかなくて。 今までに成田がこんなしつこく電話をかけてきたこと。 ――ない。
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