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「あのっ!」
目の前には、顔を真っ赤にした女の子
「突然…すみません。これっ…読んで下さい、お願いしますっ!」
いきなり手紙を差し出され、拒むことも出来ずそのまま受け取った
周りから冷やかす声が聞こえる
「ありがと」
俯くその子に声を掛けると、勢いよく顔を上げ真っ赤な顔をしたまま走り去ってしまった
「ちょお、フジ!何やねん、その爽やかな受け答え!」
「『ありがと』やって~。めっちゃカッコええ言い方やな」
「どこの子やろ?結構可愛なかった?さっすがと言うか…モテるな、自分」
テーブル席に男4人
放課後…こうやってジュースを飲んだりしてダベってたりするんやけど、こんな風にいきなり話しかけられることもしばしば
走り去った女の子を視線で追いかけてみると、ここから少し離れたテーブルにたどり着いたところで、そこに座っていた子から手を伸ばされ話しかけられているのが見えた
向こうは2人らしく、席で待っていた方の子がこっちを見て歓声を上げる
そして俺のところに来た子が、その子の視線を逸らそうと服を引っ張ったり…一悶着しているようだ
「藤(ふじ)もっちゃ~ん。それラブレターやろ?」
飲み物が空になっているらしく、ドリンクカップを回すとガチャガチャと中で氷の回る音がする
「多分…」
俺のことを『藤もっちゃん』と呼ぶクラスメイトの今井 龍生(いまい りゅうせい)の言葉に、視線を彼女達から手紙に落とし、カップをテーブルに置いた
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