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「にっしー、末期症状やな」
俺の向かい…西田の隣に座る今井が、呆れたように笑う
コンパで知り合った同い年の彼女が居る今井と、中学時代のバスケ部の後輩マネージャーと付き合っているヨシ(吉野)
彼女の居ない西田は出逢いに飢えてるらしい
「こんだけモテる慎之介も彼女居らんねんから、あんま躍起(やっき)になりなや」
ヨシが俺の肩をポンと叩く
「だって、フジはモテるんやから作ろうと思ったら、すぐにでも彼女出来るやん!俺はそんなわけにいかへんもん」
ビシッと指をさされ、返答に困って曖昧に笑い返す
「そーいえば、藤もっちゃんは何で彼女作らんの?」
皆の視線が痛い
サッと視線を逸らすと、さっき居た子達の席にもう人影はなかった
「作りたいけど―――。誰でもいいわけちゃうし…」
「何なに?ひょっとして、フジ…好きな子居るん?!」
「マジで?!告ったりしてへんの?」
「自分が告ったら、断る子なんか居らんやろ!」
ガバッと身を寄せてくる3人
反射的にのけ反ってしまう
「これ以上は言(ゆ)わへん」
椅子の横に置いてあるエナメルの鞄にもらった手紙を突っ込み、席を立つ
「悪いけど…先帰るわ」
精一杯の笑顔を貼り付け、1人店を出た
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