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あ…
店を出てうちに向けてチャリ(自転車)を漕いでいると、前方に見慣れた後ろ姿が見える
「みぃ~やちゃんっ」
俺の呼び掛けに幼馴染みの赤羽 都(あかばね みやこ)がクルッと振り返った
必死で漕いできたからか、息が乱れて喋られない
「あー、おかえりぃ~」
みやちゃんのこの笑顔を見ると、ホッとする
「今日…遅ない?」
俺らはファストフードで話してたから、いつもより帰宅時間が遅い
でも、みやちゃんは部活もしてへんから、遅く帰宅する理由が分からなかった
「今日は補講。ってゆーか、テストの点悪かったから追試的な感じ?」
自分のことやのに、顎に人差し指を当て首を傾げる
この時の考えている表情が好き
めっちゃ可愛い顔してるん…本人は気付いてへんねんやろな…
この顔を見ているのが、俺だけやったらえーのに…
そう思う
―――けど、普段みやちゃんはもう一人の幼馴染み…西澤 晴翔(にしざわ はると)と同じ学校で、毎日一緒に通学している
同い年のみやちゃんとハル
1こ上の俺は、大学のことを考えて偏差値のちょっと高い男子校
2人が同じ高校に行くと知った時は、何も考えずに高校を決めた自分に腹が立った
『慎ちゃん』
そう言って、いつも俺の後ろをくっ付いていたみやちゃんを思い出す
俺もみやちゃんもハルも…皆一人っ子
弟か妹が欲しかった俺としては、2人は俺にとっての弟や妹だった
『はい、慎ちゃん!』
バレンタインの時や誕生日の時、当たり前のようにチョコやプレゼントをくれるみやちゃんを可愛い妹みたいやと…ずっと思ってた
そう…あの時までは―――
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