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「なぁ」
「んー?」
「何であたしがあそこに居(お)るって…分かったん?」
今度こそはぐれないよう手を繋ぎ、皆が待つ場所へと戻る時、みやちゃんがそう問いかけてくる
「だって…。店入る前、みやちゃんが『見てみたい』って呟いてたやん」
昼飯を食べるため立ち寄った店の隣にあった土産物がいっぱい並んだこの店を見て、目をキラキラさせていたみやちゃん
食べ終わって会計を済ませ、大人達が店の前でちょっとの間立ち話をしている時にこの店に入ったんだろう
「慎ちゃん、ヒーローみたい」
「僕が?」
自分を指さし、みやちゃんを凝視した
「うん、そー」
笑顔で答えてくれるみやちゃん
「だって何も言ってへんのに、あたしのこと見つけてくれたやん」
「ただ…何となくだけやってんけどね」
「でも、何となくでも見つけてくれたんには変わりないし。慎ちゃんは、あたしのヒーローやね」
戦隊ものが好きやった小学校時代
『ヒーロー』と言われて嬉しくないわけがない
ヒーローかぁ~
繋いだ手に力を込める
この時、みやちゃんが『妹みたいな存在』から『守ってあげたい子』に変わった
そしてその想いは、『好きな子』へと急速に姿を変えたのだった
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