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「あ、あのっ…」
「あ…。急に呼び出してすみません。どうぞ」
バスケの練習が終わった土曜日の午後、ちょうど3時ぐらいにカフェで待ち合わせをした
相手は―――
「す、すみません…。まさか、会ってもらえるなんて…」
この前ラブレターをくれた子
「えっと、平岡さん…でしたっけ?」
「はい!江南(こうなん)女子1年の平岡 未妃(ひらおか みき)です!失礼します」
ペコッと頭を下げ、俺が勧めた向かい側の椅子に腰を下ろす
「1年生なんや?」
「はい!」
「そっか。俺は3年―――」
「知ってます!夕ヶ丘(ゆうがおか)高校3年生の藤本 慎之介さん、ですよね」
紅潮した顔で一気に喋る彼女が面白くて、つい吹き出してしまった
「な、何で…しょう…」
「平岡さんってさ、ストーカーなん?」
「ス…ストーカー………ですか?えっ?!」
さっきから、彼女の声は上擦ったまま
挙動不審でアワアワしてる
それがまた面白くて、悪いと思いつつも失笑を止めることが出来ない
「ストーカー…みたいですか?そんなつもり…あ、でも…。ああ…何ていうか…あの、その…申し訳ありません!」
両手を膝に置いたまま、勢いよく頭を下げた次の瞬間―――
ゴンッ!
という派手な音と共に、テーブルにおでこを打ち付けた彼女
「ぶはっ!」
堪えないといけないと思ってたのに、そんなものを見せられて我慢しろと言う方が無理だ
「自分、吉本(新喜劇)みたいやな」
ケラケラ笑っていると、涙目で顔を上げた平岡さんと目が合った
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