13人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「くぅーーっ(ほぼ奇声)、可愛いすぎる。
可愛いすぎるよー! アカ? アカちゃあん」
思わずメロメロになり、
周りの目も気にせず俺は取り乱しまくる。
それくらい恐るべき魔力が、奴らには搭載されている。
そうに違いない。
特にこいつ、
クリスマスセール対象商品――10万9800円のシーマル(シーズー×マルチーズのハーフ犬)はヤバイ。
ブンブン尻尾を振って、
くりくりとした目で、
「連れて帰って」と訴えてくる。
俺はショーケース越しに、
そのアカ(シーマル)の鼻を撫で、
なんとなく、もう一度アカの価格表示を見た。
ふいに沸き上がる疑問。
あれ? どうしてこいつ「商品」なんだ?
クリスマスなんていう浮ついたイベントで、
浮ついた人間のプレゼントにされて、
こいつらは本当に幸せになれるのか?
なら俺が買うか?
ローンも組めるらしいし、
いやいや、それだと俺もその浮ついた人間と同じ列に並ぶってことだし、
そもそも、犬って人間のなんだっけ?
どうして俺、こんなにモヤモヤするんだ?
考えだしたら止まらない。
俺の疑問は、音速マッハの勢いで脳内をかけ巡った。
最初のコメントを投稿しよう!