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「アカは……」
「犬は私たちの友達!
“商品”なんかじゃありません」
ふと隣から声が聞こえたので、
俺は視線を横にやった。
柔らかそうなピンク色の髪の少女が、
アカのショーケースを見つめていた。
年齢は大学生くらいだろうか、
少しぷりぷり怒っていたけど、
それでも十分可愛らしい顔つきだった。
「そうですよね?」
女の子が俺に同調を求めてきた。
何げに破壊力抜群の上目遣いで。
一応キョロキョロしてみたけど、
他に誰もいない。
女の子は間違いなく『俺に』話しかけていた。
女の子から話し掛けてられるのは何ヵ月ぶりだろう。
俺は半ば夢なんじゃないかと思いつつ答えた。
「俺もそう思います。
これから家族の一員になるのに、
商品なんて書き方はおかしい」
「ふふふ、あなたならそう言うと思いました」
女の子がふわっと笑う。
それは俺にとって、
とても奇妙な光景だった。
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