童神の聖誕祭

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「クリスマスって何?」 見るからに幼い少年は、目の前の髭をこれでもかと伸ばし代わりに頭から何かを失った老人へと首を傾げながら答えを待つ。 「クリスマスっていうものはじゃな。下界で発展した者たちが崇める者の内の一人。神の代理人、キリストがうまれた事を祝う日じゃよ。」 老人は少年の事が可愛いのか笑顔で問いに答えた。しかし年には勝てないのか、鎚を杖代わりとしながら近くの石にゆっくりと腰をおろした。 それに合わせ少年は老人の膝に肘をのせ、両手で頬杖をついて次々と思ったことを言葉にする。 「うまれた事を祝うの? 僕が皆にいろいろしてもらってるみたいに? パーティーだ! ねぇトールおじいちゃん、パーティーしようよ。クリスマスパーティー!」 無邪気な願いほど断りづらいものはないだろう。老人トールは少し困ったようだが、笑っていた。目に入れても痛くはないというやつだろうか。それほどまで、少年の事を溺愛しているかに見える。 「そうじゃの…… そうじゃ。クリスマスはの、パーティーは開かずキリストを崇めてだの。その後、子供達だけの秘密の出来事があるのじゃよ。」 トールは徐々に頭を下げ、声を小さくしながら少年に呟くように話した。まるで内緒話をするかのように。 「え!? なに! なにがあるの!!」 勿論子供にそんなことが分かるはずもなく、むしろ声が大きくなってしまう。 もし彼が犬で立派な尾があれば、それは目にもとまらぬ速さで振られていただろう。
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