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「これ。そんなに声を大きくしてはいかんぞ。これは内緒だからの。ワシとロキだけの秘密じゃ。」
それを落ち着かせるように上手く宥めるトール。
それを聞きキョロキョロと周りを伺うロキ。秘密と言われたからか誰にも聞かれたくないようだ。
「秘密なんだね。分かった僕とトールおじいちゃん、だけの秘密だよ。」
そういい人差し指を立て口前にもっていき、しー と真剣な表情になるロキ。
「では話すぞロキ。クリスマスはじゃな。ある一人の者がプレゼントを運び回るのじゃ。子供達だけにの。」
それを聞きロキは早速どんなプレゼントを貰えるのか、と妄想に浸ってしまった。
「これこれ。どんな子供にもプレゼントが貰えるわけじゃないぞ。良い子にだけプレゼントは届けられるのじゃ。」
「じゃあ僕は貰えるね! オーディンさまのお手伝い一杯してるもん。」
そのお手伝いというのは様々な書類をせっせと運び、処理済みと未処理を分からなくしたり、運び途中で転び書類をばらまくというものである。
それを思いだし苦笑いを浮かべるトールであった。
「そ、そうじゃの。じゃからこれからも良い子にするのじゃよロキ。」
「うん、わかったよ! あ、トールおじいちゃんまだ休むよね!? ミョルニル片付けてあげる!」
ロキはそう言って杖を持ち、走っていってしまった。
当然トールは話が終わればすぐ立ち上がるつもりなので
「ロキや! それはまだ使うぞ! これロキや! ……行ってしまったわい。」
大変困ってしまうのである。
「頑張るのはいいのじゃが、少し考えて行動してくれると嬉しいの。まあ、良かれと思ってしてるのは伝わるがの。」
これはイタズラ好きの神が、まだ更に幼く、無邪気だったときの話。
その後ロキのもとには何故か狼にまたがり、狼に恨まれながらも、それを無視した赤い服を着て髭も髪の毛も多い者がプレゼントを持って現れたようだ。
中身は沢山のお菓子だったらしく、ロキは次また下界で一年過ぎるのを心待ちするのであった。
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