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若葉は、自身の血で作られていく窪みが、この「雪夜の世界」から抜け出せる「唯一のトンネル」に映った。
ーーそうかぁ、この為に“ユキキヲク”はいたんだ......。
その為に、青葉が来てくれて、私を楽にさせてくれたのかなぁ......?
薄れゆく意識の中で 若葉は思った。
若葉は、自身でトンネルを作っていく景色を見て、雪夜から解放された気持ちを味わった。
そして、今年ようやく”“雪夜“と“ユキトキヲク”を少しだけ好きになった。
その若葉の感情は、彼女が初めて雪夜に好意を抱いた瞬間でもあり、また彼女の人生で最後の意識でもあった。
姉の青葉は2ヶ月前から、今、若葉の作り出しているトンネルの奥底で既に横たわり、妹を待ち構えている。
その事は“ユキキヲク ”しか知らない。
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