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「起きて、シン。ねぇ、起きて。」
頭上から声が降ってくる。
甘く、それでいて爽やかな、透き通るような女性の声。
体を揺さぶられる感覚がし、うっすらと瞼を上げる。
目の前には、顔を覗き込んでくる女性の姿があった。
「シン、あなたの寝起きがこんなに悪いなんて知らなかったわ。」
俺が目を開けたことを確認すると、彼女は俺の元を去っていく。
「シン?シンって誰だ?」
彼女に疑問を投げかける。
すると、再びこちらに顔を向ける。
その顔には、呆れ、怒り、困惑といった感情が混ざったような表情が浮かんでいた。
「何?寝ぼけているの?それとも、寝起きのジョーク?申し訳ないけれど、私も仕事の時間が迫っているの。早くベッドから出てきて、あなたも出勤の準備をしてよ。」
それだけ矢継ぎ早にいうと、キッチンの方へと向かって行った。
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