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「あぁ、すまない。カナ。」
自然と謝罪の言葉が漏れる。
カナは少し前から一緒にいる、いわゆる彼女だ。
彼女は朝食の準備をするために、長目の黒髪をポニーテールにまとめ、首の横から前へ垂らした。
つやのある黒髪とカナの色白な肌は対照的な色の組み合わせであるが、それでいてとても美しい。
凛とした表情、ぴんと伸びる背筋、どこからか溢れる嫌味のない自信。
この女性には”美しい”という言葉がよく似合う。
カナの姿を目で追う一方で、ベッドから出た俺は仕事へ向かう準備をする。
「そういえば、私今日帰りが早いの。部屋の掃除が最近出来ていないからしたいのだけれど、あなたの部屋も掃除していいかしら。」
「うん。よろしく頼むよ。」
部屋を見渡すと、確かに汚れが目立つ。
お互い仕事をしていることもあってか、なかなか掃除をするような時間も取れていない。
仕事の準備を進めつつ、カナの掃除の手間を少しでも省こうと部屋の整理を行なう。
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