チェスの駒、羽、コーヒー

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最近の私はお昼を食べ終わると真っ先にお兄様の部屋へ行く。 病弱なお兄様はベッドから出ることがほとんどできないほどに弱っていた。 そんなお兄様と毎日チェスをして遊ぶのだ。 弱った体には良くないと家政婦さんには言われてお兄様は大好きなコーヒーを飲めずにいたが、2人でチェスをするときだけはこっそりと飲んでいた。 私とチェスをしながらコーヒーを飲むことが好きらしい。 いつものようにお兄様の部屋に行くと大叔父様と入れ違いになるところだった。 廊下にいた大叔母様と部屋から出てきた大叔父様はそのまま奥の曲がり角を曲がっていった。 お兄様は私には気づいていないのか、上半身だけ起こして窓の外を見ていた。 山中にあるこのお屋敷は空気や風景がすごく良い。 ただ、今は大雪に見舞われお屋敷から出ることすら叶わない。 「お兄様、体の具合はいかがですか?」 私の言葉に驚いたようにこちらに振り向いた。 「ああ、来てたのか。じゃあ、またチェスでも始めようか」 お兄様はニコリと微笑むと小さな机の上に盤面を広げた。 私もすぐに駒を並べるのを手伝い始める。 お兄様とチェスしている間はいやなことを忘れていられる。
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