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浩一さん。こんな風に手紙を書くなんて、もしかしたら初めてかもしれませんね。これを一人で、見つけた貴方がまず最初に何を思うか考えると、とても苦しいのです。
ただ、伝えておきたい事があってこうしてペンをとりました。
結婚して三年ですね。誰かと一緒に生活することがこんなにも楽しい物だとは思いませんでした。
私は一生、とても退屈な人生を送る運命なのだと思っていましたから。
今から書く事は私が誰にも言った事がない秘密です。
両親にも、貴方にもさえも今までずっと言えませんでした。
私は毎晩夢を見るのです。
夢なら誰でも見ると貴方はきっと笑いながら言うでしょうね。
けれどその夢は翌日起きる事のすべてとすっかり重なるのです。
貴方が私にサプライズでプロポーズした日も前日に全く同じ夢を見ました。
そそっかしいウェイターが予約時間を間違えていましたよね?
ええ。それも私は前日の夢で知っていました。
何故こんな事を急に手紙に書こうと思ったのか。
それは私が昨夜夢を全く見なかったからです。
物心つくころから見ていた翌日の夢を、昨夜初めて見ませんでした。
もしかしたら、今日、私は……。
浩一さん。貴方に出会えて、一緒に暮らせて、私はとても幸せです。ただそれだけを貴方に伝えたい。
この手紙を自分で捨ててしまえるように祈るような気持ちで書いています。
浩一さん、これをもし貴方が読んでしまっても、どうかそんなに悲しまないで。
愛しています。
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