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勅使河原教授がその開発と研究に生涯を捧げているアンドロイドがついに完成した。
その名も『ビビガール』
人間の女に出来ることなら何でもできる、姿形も人間そのものの、完全無欠のお人形だ。
強力な太陽電池が搭載されており、外に連れ歩くだけでエネルギーを蓄える優れもの。
会話も購入者にあわせてプログラミングが可能だ。
「これで、私を馬鹿にしてきた女どもに復讐してやれる。ビビガールは完璧な女なんだから、もう、本物の女なんていらないんだ」
勅使河原教授で大変残念な事は彼が、その明晰な頭脳に比例するような容姿ではなかった事だ。
醜男(ぶおとこ)を極めてしまったせいで、性格まで醜悪。女性からゴキブリのように忌み嫌われる人生を送り続けた。
世界中の地面を女どもの代わりにビビガールが歩くのを彼は夢想し続け、実現される……。はずだったのだが。
発売当初ビビガールは飛ぶように売れた。顔も注文で自在に変えられるビビガール。
しかし、三ヶ月もすると、返品が相次いだ。
「何でだ!? ビビガールは完璧なのに!」
勅使河原教授にはわからなかった。その完全無欠な美しさがビビガールの欠点なのだと。
ビビガールの完全なる美しさはナマモノの女にすぐアンドロイドと気づかせ、彼女たちはビビガールを連れ歩く男たちを、こうあざ笑った。
「ダッチワイフにしか相手にされない可哀想な男どもwww」
充電のため、外に連れ歩かなければならないビビガールの購入者たちは、この屈辱感に耐えきれず次々に返品し、ナマモノの美しい女達からはアンドロイドと間違えられるのは御免だと苦情が相次いだ。
ビビガールの生産ラインはお手伝いロボットに切り替えられた。
世界中の地面は結局本物の女たちが、今日も踏み鳴らしている。
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