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~始まり~
小生は、この世に生をうけて15年。
幼い頃に両親を亡くし、妻を亡くした祖父の男手ひとつで育った。
風変わりな口調も、大正生まれの祖父譲りだ。
しかし小生は自分を恥じてはいない。
祖父を心から尊敬しているからだ。
祖父は言う。
「お前は容姿には恵まれていない。
しかし、ワシはお前をどこに出しても恥ずかしくないように育てた。」
小生は感謝の気持ちで、頭を下げた。
島暮らしの小生は今日、生まれ育った地を離れ、船で高校がある本土に行く。
島にはわずかな子供しかおらず、幸いなことに小生の事をバカにするような子供はいなかった。
下げていた頭をあげ
「おじい様、行ってまいります」
そう言って、小生は未来へ繋がる船に、力強く一歩を踏み出した。
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