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夕暮れ――。
蒼内官が幼い二人を連れて、珀千と悠謐のもとに帰ってきた。
やはり、心なしか蒼内官がやつれているのは見間違いではあるまい。
珀千は心の底から陳謝した。
「ただいま戻りました、陛下」
「ご苦労だった」
悠謐は蒼内官を労うと、三人を手招きし、珀千と二人で座っていた所に呼んだ。
五人で机を囲む。
「二人の様子はどうだった?」
すぐに悠謐が蒼愁に尋ねる。
「はい、お二人ともお元気で……。とても仲良く遊んでおいででした」
微苦笑と共に答える蒼愁を見て、珀千は何があったか瞬時に理解した。
「蒼内官……。ご迷惑をおかけしました」
珀千が頭を下げると慌てたように蒼愁は否定した。
「いえ、迷惑だなんてそんな。本当にお二人は仲良くしていらしたので。私がお相手をしたのは少しだけでございます」
では、その少し相手をしたというだけで、そこまで疲れるとは、何があったのか。
そちらの方が恐ろしいが――。
そこへ再び悠謐が口をはさんだ。
「二人は仲良く遊んでいたのだな?」
「はい。お二人で花を摘んだり、走り回ったりしておいででした」
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