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「そうか……。仲良くしていたか……」
悠謐は誰にも聞こえないような小さな声で呟くと、突然大声をあげた。
「よし、決めた!!英華嬢と淞淋を許嫁にするぞ」
その言葉を聞いて、珀千は自分の耳を疑った。
今、とんでもないことが聞こえたような気がするが……。
「蒼内官、即刻宮殿に戻り、必要な書類と、筆と、あと朱肉を持って参れ」
すごいトントン拍子で物事が決まっている気もする……。
珀千はそこでやっと声を出すことができた。
本日三度目の叫びである。
「陛下っ!!何を仰っているのですか!!」
「良いか、珀千。これは私の気まぐれではない。――いや、少しはあるが、……いや、やはりないが、国の為なのだ」
あまり説得力のない悠謐の言葉が続く。
「王家は長い歴史の中で、ずっと男子が継承してきた。そして、その伴侶は身分の高い者から選ばれてきた。だが、それにも終止符を打とう。そろそろ一般人から妃が出ても良い頃だ。いつまでも身分だなんだと言うのは時代錯誤だ。そうは思わぬか?」
やっとまともらしい理由が聞けた。
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