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《ワイワイ、ガヤガヤ……》
チャイムが鳴り終わると教室からは生徒達の談笑する声が聞こえてくる。
本日の日程もすべて終了し、後は下校するだけとなったのだが、親睦を深め合っているのか、クラスメイト達はなかなか教室から出てこない。
「ち~~っちゃ~~~んっ!」
「きゃっ!」
そんなにぎやかになった教室から一番最初に出てきた何者かが千夏に勢い良く抱きついた。
「もう早苗(さなえ)……っ。いきなり飛びついてきたらビックリするってっ」
「ちーちゃん無事に同じクラスだよー」
千夏は少しよろめきながらも笑顔でその女の子を抱きとめた。
ボブカットの小柄な女の子は、ぱぁ~といった効果音がつきそうな人懐っこい笑顔を千夏に向けており、千夏と同じクラスになれたのが本当に嬉しそうで、見る人を温かい気持ちにさせてくれる空気をかもしだしている。
「え、何この可愛い生き物」
女の子のあまりの可愛らしさにおもわず本音をつぶやいてしまった好。
「(ギランッ)……早苗になんかしたら末代まで呪ってやるからねっ!」
「ぴゃっ」
千夏から本意気で怖ろしい脅し文句をいわれたので、思わず奇声をあげてしまう。
「ち、ちーちゃんくるしよぉー」
「ああ、ごめんね早苗!」
睨んだ勢いで強く抱きしめすぎてしまった千夏は、謝まりながら女の子を開放してあげた。
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