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「ふぅー。あっ、所でちーちゃんこの人たちは……?」
千夏の腕から開放された女の子は、気になったのか小首をかしげながら好と要のことを質問する。
「ああ、ちゃんと紹介しないとね。二人共、同じクラスメイトよ。えっと、こっちの右側の人が衛守要くんっていって――」
順々に二人の紹介を始めた千夏。好は次は自分の番だと、期待を膨らませてか鼻の穴をピクピクさせて待ちかねている。
「んで、そっちの年中発情男が工口好。いい、あいつには半径十メートルは近づいちゃだめだからね」
「ちょいまてーーーいっ!」
鼻の穴を全開に広げてのツッコみました。
「何よ?」
「何よ、じゃねええっ! なんで要は普通に紹介して、オレは年中発情男なんだよっ! 後、お前とはさっきあったばっかりだろ! ええっ、夏秋冬のオレを見たことあんのか、本当に一年中発情してたっていう保証はあるのかっ!?」
「うん、してたね」
「ほら、やっぱりしてたんじゃない」
「か、要……っ、お前はどっちの味方なんだ!」
このままではこの可愛らしい女の子の第一印象が最悪になってしまうと、一発逆転を狙った好だったが、要の内部告発によりあっけなく撃沈してしまう。
「あははっ。面白い人たちだねー」
ところが、好の予想に反して、三人の会話の一部始終を見ていた女の子は楽しそうに笑う。
「わたしの名前は井上 早苗(いのうえ さなえ)っていいます。ちーちゃんとは中学校からの友達で、同じ陸上部にも入っていました。
ていってもわたしはマネージャーでしたけど、あははっ。これからはちーちゃん共々仲良くしてください」
ペコリとどこまでも可愛らしく頭を下げる早苗だった。
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