……ピッチャー?

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「ふお、ふおおおおおおおおおおおおおっ! こちらこそよろしくお願いしまぐぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!」 「半径十メートル以内近づくなっていったでしょおがっっ!!!」  可愛いあいさつをした早苗に向かって、早苗ダイビングを敢行した宙に浮いている好を、千夏は全力で蹴り飛ばす。  それはそれは、立ち技最強ムエタイキックばりでした……。 「いてててててて……っ。じゅ、十メートルって、同じ教室で生活できるかあああっっ!」 「ふん、十メートルっていうのはただの比喩よ」 「だ、だよな、いくらなんでもそれは――」 「転校してもらうわ」 「同じ教室どころか、同じ学校すらダメなのかよっ!」  自分が行ったことを棚に上げ、顔を押さえながら逆ギレする好だったが、千夏からの明確な悪意には全く勝てる気がしなかったそうだ。 「あははは、息ピッタリだっ。ちーちゃん楽しそうでなによりなによりだよ」  何故かそんな二人の掛け合いを見て、腕を組みながらウンウンと満足そうに頷いている早苗。 「一体全体どこら辺がよ、早苗?」  千夏はそんな早苗を見て呆れ顔になる。 「えへへ、だって嬉しそうなんだもーん……。あ、ちなみにですね、ちーちゃんは中学校の時に全国大会にも出たことあるんです。だからすごい脚力なんですよ」 「ああ、確かに朝はすごい走りだったもんね」 「なるほど。それであのキック力か」  異なる理由で驚きよりも妙に納得してしまう要と好の二人。 「てことは、高校でもやっぱり陸上部に入るのか?」  全国に出られるレベルなのだから当然だろうという質問。 「まあ、そのつもりかな」 (ん?)  なんというか、少し様子が……。  千夏の返答に少し違和感を覚えた好だったが、 「衛守くん?」  背後からの第三者の介入により聞きすごすこととなった。
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