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「衛守くん?」
「え?」
突然の介入者により驚いた好達は、要に話しかけている男に注目を集める。
「衛守くん、だよね?」
「はい、そうです」
介入してきた男は好達とは違う黄色の校章をつけている。好達がつけている赤色の物とは違い、これは相手が二年生であることを示している。
「うん、面影が残ってる。確かに衛守くんだ」
男の背丈はいたって普通なのだが、顔は生まれつきなのか糸目で、常に微笑んでいるような顔の作りになっており、今も気さくに要に話しかけている。
「ボクの事知ってるんですか?」
「はぁー、良かったよ……。これでやっと翔太の球から解放される……」
「…………」
思いっきり無視されてしまった要。
「あ、ごめんごめん。こっちが一方的に知ってるだけだから」
我にかえった男は謝まりながら話しを続ける。
「えっと、神矢リトルの衛守要くんだよね?」
「……っ!?」
いまいちピンときてない早苗が、ん?と小首をかしげている横で、何かを思い出したかのように千夏は驚いた顔をする。
「奇抜なリード、華麗なスローイングやキャッチング……。
名門神矢リトルをその年、全日本選手権優勝、世界選手権出場に導いたキャッチャー。衛守要くんでしょ?」
分かりづらいが、質問する男の細い目を注意深く見れば、期待が高まっている事が良く分かる……。
「あはは、そんな大層なもんじゃないですけど」
頬をかきながら少し困った顔で話を肯定する要だった。
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