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「ありがとうございます。あ、後、入部するのはボクだけじゃなくて――」
「ん、おお……っ」
要は先程から静かにしていた好の肩を抱き寄せる。
「紹介しますっ。ボクの唯一無二のパートナーの工口 好くんです!」
「だあああああああっ! 何を先陣切って言いだすんだお前は! 人が油断してる時に一石投じるんじゃねええええええっ!」
「おお、ピッチャーだけに投げちゃうと? 上手いねー好ちゃん!」
「ち、が、う、わっ!!」
突然の笑顔の宣言に慌てた好は、要の首を掴み左右上下に振りまくる。
「へー、隣りの、えっと工口くんはポジション、ピッチャーだったんだ?」
太一郎は要の言葉に興味がわいたのか、そんな好の行動を無視してマイペースに質問する。
「にししっ、浅生さん。好ちゃんは、ボクが知るかぎり最高のピッチャーですよ」
親指を上に立て、誇らしげに宣言する要。
「……出たよその笑い」
要の笑い顔を見た好はげんなりとした感じでため息をもらした……。
「衛守くんがそこまで太鼓判押すとは、期待しちゃうな。でも工口なんて特徴的な名前聞いたことないけど……」
ぶつぶつとつぶやきながら、太一郎はまた一人の世界へ入り込んでいってしまった。
「(ボソッ)……ピッチャー?」
そして、それとは入れ違いについ今しがたまで、心ここにあらずといった感じで黙っていた千夏が要の言葉に反応した。
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