凡ピー

3/8
前へ
/48ページ
次へ
「翔太ー。気合入れるのはいいけど、病み上がりなんだからあんまり飛ばしすぎるなよー」 「あぁ……っ? おお、太一郎かっ」  先程から激を飛ばしまっくていたノッカーは、振り返り練習着姿の太一郎を確認すると、手を止めてノックを一時中断した。  翔太といわれたノッカーの男は、目つきが鋭く常に怒っている様な顔立ちをしており、相手を畏怖させる雰囲気を漂わせている。 「しかも梶さん達の所ら辺ばっかり打ちすぎだろ。……また茶化されたのか?」  翔太のそんな雰囲気にも慣れているのか、特に気にした様子もなく、あの人もこりないなーと、苦笑いをしながら話を続ける太一郎。 「ふんっ、たまたまだ、たまたま! それより遅いぞお前! 俺らには時間がいくらあったって足らないっていうのによっ。いったい何してたんだ!?」 「悪い悪い、色々あってね……。とりあえず、例の我が飄々高校ドラフト1位の、スーパールーキーを勧誘に行っといたよ」 「何……っ?」  悪びれた様子が全くない太一郎の言葉に反応をする翔太。  要のことはもう野球部では話題になっていたらしく、反応した翔太の目つきが角度を上げてさらに鋭くなっていく。  太一郎とは違い、翔太は手放しに要のことを歓迎している訳ではないみたいである。 「今、部室で着替えてもらってるよ」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加