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「ダメだ。どう見てもわからん…」
「義彦、君は一年前『黄泉』から二人の生還者が現れたのを知っているか?」
「まさかこいつが……」
今度こそ隠そうとしない義彦の驚愕の表情。義彦はオカルトを扱えるわけではない。ただ〝裏″を知るただの警察官だ。だが『黄泉』の伝説は知っている。あの難攻不落の冥府から蘇りを果たすのにどれだけのチカラがあればいいのだろうか…。
ズズッとわざと音を立ててコーラを飲む清輝。それで秋人と義彦はハッと我に返る。
「オレの過去話なんてどうでもいいからさっさと仕事の話をしてくれよ。こっちだって忙しいんだからさ」
その目は不機嫌そうに細められていた。思わず秋人は気まずそうに頬をかく。
「ああ、悪いね。ほら義彦…」
「お、おう」
思いだしたように、義彦は持っていたビジネス鞄からA4サイズの封筒を取り出す。そして中から数枚の写真を取り出した。
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