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バックミラーに映ってる鎧騎士が動き出す。騎馬が吠える。蹄の音と共に駆けだした。
「クソッタレエエェェェェ」
更に強くアクセルを踏み込む。クラッシュの恐怖より、この鎧騎士への恐怖が勝った。
バックミラーを見る。騎馬はその体躯に見合った加速。既に140キロにまで到達している加藤へと迫りつつある。
あと10メーター、8メーター、6メー…。バックミラーから消える鎧騎士。加藤の頭が唐突に消えた鎧騎士に疑問を覚えるより先に彼の本能が叫んだ。
まるで踏み潰すかのような、アクセルへの踏み込み。急激な加速に車体が唸り、慣性に身体が持ってかれる。
ドカンと地面のコンクリが沈む音。加藤の3メートル後ろ、そこに騎馬の蹄が落ちる。消えたと思った鎧騎士。なんてことはない、上空から加藤の車を踏み潰すために飛んだだけ。
『ふはははは。よくかわした』
鎧騎士の喜悦に染まった声。なんとか鎧騎士のファーストアタックを回避した加藤。全身が冷汗に濡れていた。
意味がわからない。何故深夜のバイパスにこんな化物騎士がいるのか。これじゃまるで劇画の世界じゃないか。
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