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「感心しないな。ガキに銃を持たせるもんじゃない。ガキはすぐに銃を抜く……相手もよく確認せずな」
そういうと、ユージは懐から二丁のオートマチックを取り出し床に投げた。事務所の二人に持たせていた銃だ。デービスは完全に詰まれた。これで正当防衛を言い立てデービスを射殺できる。
ユージは再び懐からDE抜き腰だめで持ちながらデービスの肩を叩いた。
「何をしてた? なんだ、ネットギャンブルか? 知らないのか? ニューヨーク州ではインターネットギャンブルは違法なんだぞ? もちろん銃の不法所持も違法だが?」
「ちょっ、ちょっと待て! 確かに違法だ。だがそんな事いいに来たのか!? アンタほどの大物が!? 市警の刑事の点数稼ぎじゃあるまいし」
銃の不法所持やギャンブル行為は軽犯罪だ。FBIの仕事ではない。デービスはそう答え背筋が急激に冷めた。だとすればこの男は何をしにきたというのか?
ユージは近くにあった椅子を引き寄せ座ると、ゆっくりとデービスを座らせた。
「そんなに警戒しなくていい。実はお前に頼みがあってやってきたんだ。このNYで俺に貸しがある人間なんて誰もいないんだから」
ユージは淡々と言うと、銃口でインターネット画面を指した。そう、なんだかんだいいつつユージは銃を戻していない。頼みというより脅迫だ。
「俺に何させようってんだ!?」
「ネットギャンブルについて、な。力が借りたいんだ」
「待てよ。俺ぁギャンブルは趣味でプロじゃねぇし、そんなデカい裏ギャンブルもしらねぇ。アンタの知り合いにはもっとプロの連中がいるだろうが。何で俺なんだ」
「そこなんだ」と言うと、ここでユージはようやくDEをホルスターに戻した。
「ちょっと今調べたいことがあって、裏ギャンブルに詳しい奴の力が借りたいトコなんだが、俺の知り合いは皆裏世界一流の奴らばかりでな。あの連中に貸しを作るのは今後あまり嬉しくないし、あの連中の仕事を知ってしまうと、俺も立場的に逮捕せざるえない事柄まで触れかねない。そうなると調べごとも何もあったもんじゃないだろ? FBIの表ルートを使うと記録に残る。そうすると、暴きたくもない陰謀まで知ると厄介だ。ちょっと今回は極秘の捜査であまり事をでかくして時間はかけたくない、本題だけ分かりたい。そう考えると……そうだな、デービス=ウッズマンくらいが妥当なんじゃないかと思うんだがどうだろうか?」
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