第6話

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「今、俺は傭兵と吟遊詩人をチェイスしただろ? ここでチャットルームで書き込むと新しい賭けになる。そうだな、例えば『後6時間以内にこの二人が死ぬか生きるか、10ドルで賭けないか?』 とか『この二人のうち、どっちが先に死ぬか……スタート5ドルで。参加者求む』とか書くと、反応があればそれで賭けが成立するんだよ。パターンは色々だし、賭けのルールは自由だ」 「よし。賭けろ。金は俺が出す」  そういうとユージはテーブルの上に100ドル札を2枚置く。デービスは沸きあがる不信感や質問を引っ込め、素直に反応がありそうな後者の賭けをチャットに乗せた。すると2分後には、6人の人間が参加を表明し、結果的にデービスは吟遊詩人クリルに50ドル、他二人は20ドルずつ賭け、他3人は20ドルずつカザンに賭けた。そしてそこで提案者のデービスが『賭けの成立』と打ち込むと、2分後、運営からメールが届き、クレジットカードの番号入力と暗証コード、そしてデービスの掛け金と、勝ったときの配当金が表示されていた。このメールに必要事項を打ち込み返信すれば、賭けは成立する。 「ミタスー・クロベ。このゲームのどこが怪しいんだ? もしかしてこれ、なんかの囮捜査なのかよ?」 「囮捜査なら堂々とするだろーが。キャラクターがどこにいるかは分かるのか?」 「<チョイス>をクリックすればな」  そういうとデービスは吟遊詩人クリルを<チョイス>した。すると画面は切り替わり、洋館の中に移動した。洋館の一室で、5人ほどのキャラが集まっていて、その中にいる長髪の黒髪の少女キャラが吟遊詩人クリルだという。 「お前、何でこの子を選んだ?」 「この子は、魔法騎士ナカムと仲がいい。そしてどこで手に入れたのか、今、この子はボーガンを持ってるだろ? 身体スキルは低いが、生存率は高く設定されてる。傭兵カザンも剣を持っているが今、村の廃墟になった教会にいて周りにモンスターがウロチョロしてる。身体スキルが高いから生存率も高いが危険エリアにいる分危険だと思ったからな」 「モンスター?」 「基本、ゾンビと<死神>が徘徊してるが、キャラクター同士も殺しあう。そこが普通のゲームと違う点だな。こいつ等、会話もするしすげぇリアルだよ。さすが日本人は芸が細かいぜ」
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