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そういっている間にも、クリルの傍にいた学生風の少女ミリーが「さっきから村のほうでずっと騒いでるわ。何が起こってるの!?」と焦っている言葉が吹き出しで浮かぶ。すると同じ部屋にいた、槍を持ったひ弱そうな村人アキラが「騒がず静かに様子を見るしかない」と答え、今度はジプシーのミカが「イタイ、イタイのなんとかなんないぃ?」と呟く。ミカだけは名前の表示が赤くなっていた。ケガをしているらしい。
「魔法少女の二人はどこにいる?」
「ちょっと待て。…………なんだ? 『行方不明』って…… おい、ミスター・クロベ。これが一体何なんだ!? なんか馬鹿馬鹿しくなってくるぜ。どうせギャンブルなら俺はもっと別の、盛り上がるギャンブルがしたいんだ。こんなオタク向きのゲームじゃなくて! こんなゲームのどこに問題があるんだ?」
「このゲーム、賭け参加者はどれくらいいるか分かるか?」
苛立つデービスを無視しユージはじっと画面を見ている。その眼は真剣で、その迫力にデービスは口を塞ぎ、黙ってチャットルームを開いて参加人数を見た。普通は見れないが、そこは多少その方面に知識はある。これまでのチャットルートの入室者数は分かった。それが表示された時、デービスは初めてヘンな違和感に気付いた。
「参加者……13万5962人だって!?? な、なんでこんなに参加者がいるんだ!?」
「だから言ったんだ。こいつには裏があるんだよ」
「な、なんだよ。それは……」
「他言したら殺すぞ」
「分かったよ! 気になるじゃねーか! なんだよ」
「このゲームはリアルタイムだ。ゲーム内の時間を見てみろ。きっかり14時間差だ。人工知能の3Dゲームの形をとってるが、日本で実際に起こってる……リアルな事件なんだ」
「な?」
「噂じゃ、このゲーム、<スペシャル会員>があるらしいがどうなんだ? 画面にはそういうのはないようだが」
「確かに噂は聞いたことがあるけど、俺はこんなオタゲーにそこまでハマってるワケじゃねぇーから分かンねぇよ」
「調べろ。お前、ギャンブルの友人がいるだろ? 10分やる、俺は外に出ておいてやるからな。逃げると殺す」
そういうとユージは嫌味交じりの笑みを浮かべデービスの肩を叩くと、部屋を後にしていった。デービスはすぐに何人かの非合法なギャンブルを生業とする仲間に一斉にメールを送り始めた。
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