第6話

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 ユージは部屋を出て、暴れてメチャクチャになった事務所と呻き声を上げダウンしているチンピラを無視し外に出て時計を見た。午前11時42分……拓との連絡はちょうど正午時……日本時間では午前2時だ。丁度外に出たところでJOLJUは座り込み、紅白饅頭を黙々と口に運んでいた。ユージは黙って紅白饅頭を一つ掴み上げる。 「なんで紅白饅頭なんか食ってるんだ?」  いいながらユージは掴み上げた饅頭を摘まんで口に運ぶ。JOLJUは気にすることなく黙々と食べている。思った以上に甘い饅頭でユージの手は止まった。 「なんだこれ?」 「オイラ法事の帰りだもーん。法事のお土産といえば紅白饅頭だJO!」 「お前が行った法事って地球じゃないじゃないか。どうして他所の星に紅白饅頭があるんだ?」 「地球の風習ということでオイラが作ったンだJO」  エッヘンと胸を張るJOLJU。 「てことはナニか? お前は他所の星の法事に顔出して、地球の風習という事で自分で紅白饅頭作ってみんなに振舞って、そして風習どおりお土産で持って帰ってきた、と?」 「だJO♪」 「……お前……自分の行動に疑問はもたんのか?」 「別に」 「あっそ…… 好評だったのか? 紅白饅頭は」 「来客のグレイン星人には餡子が不評だった…… グレイン星人は糖質が苦手なのすっかり忘れてたんだJO。一応彼ら用には砂糖でなくて塩餡子にしたけどイマイチだったみたいだJO♪ えっへん♪」 「法事って誰が死んだんだ?」  待つ時間がヒマなので、JOLJUとだらだらと会話を続けるユージ。 「ヒャダマゼって星で神様やってる友達」  JOLJUもこう見えても神様で宇宙にも多くの知り合いがいる。特に宇宙にいってしまうと色んな星の神様と友人だ。だから今更驚くようなことはないが、今起きてる事件を思うと別次元すぎて現実感が欠片もない。 「というか、他所の星の神様はそんな簡単に死ぬのか?」 「そりゃ神様だって死ぬJO。あーーー でも今回は肉体が死んだだけで精神体に昇華してかえって身軽になったみたいだったJO。もっとも一般人には見えなくなっちゃったけどね」 「お前、呼ばれて行ったんじゃなかったんだろ?」
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