第6話

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 JOLJUは基本サクラと一緒に行動することが多いのだが、今回はサクラと飛鳥がテレビに出ることになり一緒にいることができずヒマなので<押しかけ訪問>で無理やり他所の星の神様の葬式に出て行ったのだ。こう見えても宇宙ではJOLJUは誰もが知っている神様だから、その惑星の方でも無碍にはできなかったのだろう。そして地球(日本)の風習ということで頼まれてもいない紅白饅頭を自分で作って持って行き(微妙に勘違いしている上に饅頭の出来は悪い)、「風習」ということで紅白饅頭を貰って(ほとんどつき返された)戻ってきた…… 考えれば考えるほど間抜けな話だが、本人は気付いていないようだ。本人は満足そうだしユージたちに害はないのであえてツッコむ必要もない。 「しかし……確証があったわけじゃないが、嫌なことに予想通りの展開だ」 「JO?」  ユージは頷く。いくつもの会社によるリアル・デス・ゲーム。そしてそれを賭けゲームとして世界中に発信する。スペシャル会員は、ユージの予想だと3Dのゲームキャラではなくリアル映像を見ることができるようになるのだろう。裏の格闘デスマッチやスナッフビデオの需要は世界中にあり、このリアルな殺し合いありの生き残りゲームはまたとない機会だ。裏世界の嗜好者は必ず食いついているだろう。この手の人間は金持ちが多く、相当なお金が運営側に入ることだろう。  だがその収益はせいぜい大目にみても2000万ドル前後ではないのだろうか?  確かに大きな収益だが、これほど大規模な組織が複合して起こした事件の収益としては少なすぎる。死人も出ている。もし当局が本格的に捜査にかかれば何社かは責任を問われ逮捕される可能性は大きく、今の知る状況では運営のリスクのほうが大きいはずだ。  逮捕される……もしくは逮捕されてもフォローしてくれる存在がある……  それがこの事件の最大の黒幕なのだろう。それだけが何なのか分からない。ただ、これだけの事件を起こしこれほど巧妙に工作しているとすれば、その規模は数億ドルというレベルのはずだ。そうなると本当に国家は絡んでいないのか……いや、ユージの調べた限り政府も軍も公には関わっていない。ただしこれは政府や軍の中でも正統なグループの話だ。  ユージは時計を見た。すでに10分は経過している。  ユージは紅白饅頭を食べているJOLJUを掴み上げると、事務所の中に入っていく。
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