第6話

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「JO~! ナニすんだぁぁJOぉぉ~」 「何のためお前連れてきたと思ってンだ。これからお前に手伝ってもらうんだ。行くぞ」  元々デービスから黒幕にたどり着けるとはユージも思っていない。キッカケを掴み、そこからハッキングしていかなければならないだろう。JOLJUはそのハッキング要員だ。  ユージたちがデービスの部屋に戻ると、デービスは携帯電話で喋りながらパソコンのキーボードを叩いている所だった。デービスはユージが戻ってくるのを確認すると、パソコン画面を指差した。そこには銀行口座番号とID入力画面の指示が出ていた。  そしてメッセージが短くある。 ≪この口座に5万ドル入金の上、メール・アドレスを入力。おってIDとパスワードを送ります≫  ユージとJOLJUがパソコンの前に座ったときもデービスは携帯での会話を終え、携帯電話を懐にしまった。 「多分これだ。しかしなんだよ5万ドルって! 完全に詐欺じゃねぇーのか!?」 「詐欺じゃないのは確認したんだろ?」 「……ああ……」フンッ……とデービスは鼻をかみ「スペシャルメンバーの誰かの紹介がないとこのページには行けない。それに、この銀行口座振込みでこっちの情報は運営側に知られる。運営側も参加希望者の身元を調べてから入会許可を出す。そのくらいのセキュリティーシステムはある」 「分かったろ? 俺じゃダメな理由が」  もしユージや他の法執行機関の人間が加入しようとしても、運営の方で拒否するか、エラーということで弾いてしまうだろう。もっとも推薦者にもよるだろうが。 「ということで、デービス=ウッズマンあたりが妥当ということなんだよ」 「ちょっと待て! 俺に5万ドルなんて大金支払わせる気かよ!?」 「お前の口座を教えろ。そこに諸々必要かもしれんから7万ドル振り込む」 「わかった」  デービスはメモに口座番号を書き込む。それを受け取り、ユージは椅子の上で傍観しているJOLJUにノートPCを出させて、ユージが銀行口座を指定し、そこからデービスの口座に7万ドルを送金した。ユージの個人口座でなく、ユージたちが共有している裏口座で足はつかない。ユージは送金の確認をデービスにさせた。デービスは露骨にやる気なさそうに会員登録を始めた。  数分後。デービスのメールに『スペシャル会員情報』が送られてきた。そこにはIDとパスワードとアドレスが表示されている。
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