第6話

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 サクラは立ち上がり、メモ紙に飛鳥宛に「しばらく出てくる」と書き飛鳥が愛用していた斧を掴み部屋を出た。特に理由はない。ショットガンは重いし弾が少ない。手ぶらはなんとなくしっくりしない。  廊下は整備され、電気がついている。サクラたちがいたのは地下エリア1Fに無数にある倉庫の一つだ。扉にはパスワード鍵がついている。パスワードはすでにサクラが書き換えたので絶対誰も入れない。 「睡眠は大切なんだけどなぁ~」  ぶつくさと呟きながら、サクラは斧を背負った。もっともサクラは前日、たっぷり熟睡した。もうサクラはゲーム終了まで寝なくても活動できる。サクラは周囲の気配に気を配りながら、ゆっくりと地下道を歩いていった。    森の中は漆黒の闇に包まれている。僅かにある月明かりだけが唯一の光源だ。普通の人間には、ほとんど先は見えない。  ただひたすら、走る。時々足を取られる転がり、体を傷つける……だがそんな事に頓着している場合ではない。  とにかく走った。時々月光でうっすらと見える道を目指し……さらにその奥にある光に向かって駆けた。  その時だった。 「!?」  足を止めた。  だが、藪を駆け抜ける音は聞こえる。  自分ではない。そう思った瞬間、彼女に再び恐怖が襲った。 「ひぃやぁぁーっ!!」  彼女は再び走り、やがて彼女は森を抜けた。  目の前には紫条家西館が見える。西館は明かりが点り、周辺は行動するのに十分なほどの明るさがある。彼女は戸惑った。闇から抜けた安心感と、自分の姿が丸見えになってしまったという不安が同時に襲い掛かる。そしてその間も藪を突き進む音が聞こえてくる。  彼女……芸人の樺山は、泥と擦り傷だらけになりながら、今混乱の極にあった。 「おや。樺山さん?」 「!?」  突然の声に、樺山は眼を見開いた。暢気な声は上からだ。  振り返った彼女の目に映ったのは、見覚えのある青年だった。 「む……村田さん!?」  紫条家の二階から村田が身を乗り出していた。村田は焦る様子もなく普通だ。だが樺山は村田の姿を見ても顔から恐怖が消え去らない。樺山は明らかに挙動不審で辺りと村田を見ている。その只事でない様子に、村田は首を傾げた。 「どうしたんですか? 樺山さん。ナニかあったんですか?」 「ア……アンタ! アンタはまともぉ!?」 「はい?」  村田にも樺山が何を言っているのか分からない。
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