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肩にスポーツバックを担いだ男が、空を見上げる。無精髭をはやし、ボサボサに伸びた髪を無造作に後ろで纏めている。
「ここが、ねぇ?カーッ、でっけぇー」
背中を反らせ、そびえ立つ校舎を眺める。
猛禽類を想像させる灰色の瞳。彫りの深い顔には大小様々な傷があり、歴代の戦士のようだ。
「.......久しぶりだな、和正(かずま)」
冷えきったナイフのように鋭い声音。男が声の主を見つけると、ニィーッ、と笑う。
「久しぶりじゃねえか、ええ?千冬さんよぉ…」
スーツをピシッと着こなし、プラスチック製の板のようなものを小脇に挟んでいる。
「皮肉だねぇ?オメーはIS乗り、俺はISを殺して、んでもってアイツは作りやがったし..........ま、どーでもいいか」
大袈裟に肩をすくめ、千冬の肩をたたく。よろしくな、先生。皮肉げにそう言い、校舎の中に消えていった。
和正が消えていった方を見つめ、千冬は魂が出てしまうほど重いため息をはく。
久しぶりに合った旧知はあそこまでフケてしまったのか。
頭をふり、余計な考えを追い出す。
そういえば山田先生は大丈夫だろうか?何処からともなく沸いてきた考えを確かめるために教室へと急いだ。
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