序幕

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 激しく竹刀がぶつかり合い、重たく踏み込む足の音が響き渡る。鋭く打突を入れるも、お互いにそれを避け、竹刀で捌く。鍔迫り合いから後ろに引き、そこで納刀し一礼した。  地稽古をしているのは白髪が目立つ師範と、まだ多少のあどけなさ残る青年であった。風に煽られ零れた梅が道場の縁側に舞い降りる。二人の男は道場の真ん中で向き合って座っていた。  「清照、もう高校生になるのか……。昨日のことのように道場に入りたてのお前を思い出す。」  「やめてください、師範。僕はもう、あの頃とは違いますから……。」  「高校では部活はするのかい?」  「いえ、部活はせずに勉強に専念します。今はそれだけです。」  清照がそう答えると老師はどこか遠くを見つめながら小さく何かを呟いた。しかし、聞き取ることなく座礼をするとすぐさま着替え始めた。道着を脱いだ青年の体は凛々しく、とても寂しげであった。
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