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翌週、凛城の生徒の戦いが始まった。初戦は私立恵蘭学園、さすが私立ということもあり強かった。だが流れを変えたのは清照だった。彼のポテンシャルと素早い立ち回りは相手を翻弄する形となった。
隔週で試合を行うというが、凛城の生徒は疲れるどころかむしろやる気に満ちていた。今年こそは全国制覇をする、そう胸に秘めて……。
ある授業中、清照は凪紗と話す時間を得た。勇気を振り絞って聞いてみると「楽しくやってるよ。辛いことも楽しいって思えるぐらいにね!」と言ってきた。
そのまま休み時間になり、話は続いた。
「キヨ、実は試合を見に行ったのよ。すごくかっこよかったよ。」
「き、き、来たのなら行ってよ……。でも……ありが……とう。」
「ごめんね、言わない方がよかったかなって思って……。」
「そういえば、剣術のほうはどうしてるの?」
清照の顔に影が差した。それ以降は口を開くこともなく、ただ黙り込んでしまい、凪紗もそれ以上聞くことはしなかった。
(師範と……もしかしたら……。)
そして清照は決意し、防具と竹刀を持って道場の戸を再び開いた。そこには見慣れた老人が防具を纏い、鋭い眼光でただこちらを睨みつけていた。
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