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右足が前で左足とは拳二個分ほど空き、随分と楽そうな姿勢で竹刀を構える江崎に対し、左足が前に出て、竹刀が江崎とは逆方向に向き、左肩に対して重心を下げる、まるで剣を使うゲームのような構え方を清照はしていた。
「おい、なんだよその変な構え方。剣道はこうだぜ?」
「僕は……剣道なんてやったことないし……とりあえず僕に竹刀振ってみてよ……。」
「おう、いいぜ。そらっ!」
江崎は誘われるがままに清照に振りかかった。しかし、身をよじって避ける。何度も当てようと振っていくも、剣先で捌かれたり、立ち回りで避けられたりしていた。
しばらくそんな状態が続いてると、江崎が少しむすっとしたような声を上げた。
「なあ、尾田。俺達は剣道やってるんだぜ?侍ごっこみたいなやつだけどさ、お前も打ってこいよ。ちょっとそれじゃあつまらねえぜ?」
「剣道なんて……ただの暴力だよ……嫌だよ……僕はやりたくないよ……。」
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