さよならのかわりに、花束を(花束P)

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 花束Pという名前のきっかけとなった曲であり処女作。  THE VOC@LOiD M@STERにも名を連ねており、マスタリングにシグナルPが協力することも多く、実際この曲はカラオケJOYSOUND配信中、という点からは有名Pの一人に数えられると思います。  しかしながらバラードを中心に取り上げていこうとする時に、やはりこの曲は外せません。  花束Pのテーマには「出会いと別れ」が伴うように思います。例えば引用した歌詞にあるじょうろは、水を「あなた」の愛に例えて、空っぽになった私の心の暗喩であると理解されます。  ではその水とじょうろで育ててきた花は何かというと、未来を象徴するもの。このままだと花が枯れてしまう(=未来が失われてしまう)、だから「たすけて」という悲痛の言葉として表現されているあたりに作詞力の非凡さが窺えます。  そして描かれるテーマは必ずしもそういった悲しみばかりではなく、それを一つの契機としてまた進んでいこうとする「前向きさ」が花束Pのバラードの最大の特徴。それを象徴するのが「花束を胸に抱き」「またはじめよう」という繰り返されるフレーズで、か細い中にも折れない力強さをしっかりと秘めているのが伝わってくるでしょう。  もう一度繰り返しますが、花は未来を暗示するもの。「あなたがくれた花束」は私の未来を後押しするものでもあり、本当の「花」は目には見えません。私の心の中に咲く花は、どんな花よりも美しいのです。育ててくれた「あなた」に、いつの日か報いるために。  セルフアレンジ(sm5959992)含め他のボカロPによるアレンジ版もいくつかあり、歌い手に愛されている曲でもあります。処女作だというのが信じられないくらいの爆発力です。お気に召したら是非タグ巡回することをお薦めします。
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