第一章

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闇帝は僕にこっそりとつっこむ。 「帝王様、無帝が感想を待ってます。」 「え?…あぁ、すみません。無帝、美味しいですよ。……カルトの若葉を混ぜましたね。」 グランディエ界に生息するカルトという赤い実を実らせる木がある。 甘い実と、元気にさせる精神回復効果のある若葉で有名な木だが、成長速度が早く、若葉でいる時間は一時間しかない。 しかも、若葉がでる時間はだいたい朝の8時から30分間と言われていて、若葉の数も少ないし、出ない日も多い。 そのため若葉は希少なものとなっている。 「よくカルトの若葉が採れましたね。」 「今朝、転移しまくってたくさんのカルトの木を見て回ったんだ~。でね、帰りにたまたま境界の近くで闇帝に会ったから、ちょっとだけお裾分けしたの。」 その若葉、僕も欲しい… なんて、内心思いながら楽しそうに話す無帝をみる。 「そしたら、カルトの若葉をクッキーに混ぜると手っとり早い回復菓子になるって闇帝がいうから教えてもらいながら一緒に作ったんだ♪」 「なるほど。確かに良いお菓子になりますね。かさばりにくく、食べやすい。なんだか元気がでてきましたよ。」 そう言うと無帝は闇帝とハイタッチをする。 「やったね!!」 「あぁ。」 その時、会議室の扉が開き、紫のマントをきた人、雷帝と焦げ茶色のマントの人、地帝がきた。 雷帝は雷属性を得意とする帝で、チャラい性格だが実はしっかりしていて面倒見がよく、無帝からかなりなつかれている。 地帝は地属性を得意とする帝で、間違いなく貴族か王族の人だ。 態度からしてそんな感じが伝わるが、器が広い良い人だ。 「ちわーっす。」 「やぁ、諸君!!」 二人が声をかけてくる。 ………僕に気づいてない感じだな。 無帝は雷帝に飛びつき、光帝は二人のお茶を用意し始める。 「らぁいてーい!!待ってたよー!」 「お二人もお茶飲むでしょう?」 呆れながらもそっと無帝を抱き締める雷帝、 光帝にお礼をいいながら自分の席に座る地帝。 「あのね、クッキー焼いてきたんだ!!美味しいって褒めてくれたぁ。雷帝も食べて!!!!」 「ほぉ。誰が褒めてくれたんだ?」 「帝王サマ!!!!!!」 「………え?」 驚いた顔で僕の席の方へ視線を写す雷帝と地帝。
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