第1話

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この世界では呪われた装備が多い。 人や、力ある魔族、モンスターの断末魔を浴びた武器防具は、攻撃力、防御力、特殊能力が付加される事がある。 この世界での、はぐれメタル装備が良い例だ。 あれは、はぐれメタルを倒し続けた結果呪われ…。 自らの装備に高い攻撃力、防御力が付加され変化した代物だ。 呪いも単純な弱い呪いなので脱ぎ着も出来。 皆、気づかないのだ。 強力な呪いなら、自らの能力の何かを犠牲にする反動はあるし…。 教会に行くか、魔法でけなきゃ装備は外せ無いが…。 とかく便利だから皆、何がしかの呪われた装備を着けている。   そんな世界。 様々な冒険者が集う街で、ある冒険者が広場に立て札を立てつぶやきを書く。 「明日、呪われた装備だけのドレスコードで舞踏会を催す。 参加費100ゴールド。 参加者にはビンゴゲームで…。 私の作ったはぐれメタルの装備をプレゼント。 場所は霧の古城。」 これは面白そうだ。 バトルや魅力ではなく、ビンゴゲームで決まるなら、レベルの低い私にもチャンスはある。 私は自宅タンスの装備コレクションから、お気に入りの呪い装備で参加する事にした。 当日。 会場は冒険者で溢れている。 皆、様々な呪い装備で舞踏会に来ていた。舞踏会だけあって皆動き易い軽装備だ。 しばらくすると、ビンゴゲームでも始まるのだろうか?。 主催者が皆の前に現れこう告げた。 「皆様、ココでサプライズゲストを紹介しよう…。 別次元からの大魔王!。 デスピサロだっ!!。」 ヤバい。 この舞踏会は、魔王召喚出来る悪党冒険者の冒険者狩りの罠だ。 モンスターを育てるには、冒険者狩りが手っ取り早いのだ。 この手の手合いは、そこらのモンスターよりタチが悪い。 舞踏会に鎧や剣を持ってはドレスコードに引っ掛かるので参加出来ない。 呪われた装備だけなので、武器を持たずに来た者も少なくない。 主催者が舞踏会を催したのはこの為か…。 ナイフや鞭、素手で果敢に挑む者もいるが如何せん相手が強すぎる。 次々と冒険者が狩られ、別次元の魔王の成長の糧となっていく。 魔王の障気でモンスターまで集まりだし、辺りはもう阿鼻叫喚の地獄絵図だ。 冒険者は時に勇者と持てはやされ、逃げずに闘おうとするばかりだが…。 私は時に勇気を持って逃げるのも、勇者だと思っている。 私はこの場を逃げる事にした。
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