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この世界では呪われた装備が多い。
人や、力ある魔族、モンスターの断末魔を浴びた武器防具は、攻撃力、防御力、特殊能力が付加される事がある。
この世界での、はぐれメタル装備が良い例だ。
あれは、はぐれメタルを倒し続けた結果呪われ…。
自らの装備に高い攻撃力、防御力が付加され変化した代物だ。
呪いも単純な弱い呪いなので脱ぎ着も出来。
皆、気づかないのだ。
強力な呪いなら、自らの能力の何かを犠牲にする反動はあるし…。
教会に行くか、魔法でけなきゃ装備は外せ無いが…。
とかく便利だから皆、何がしかの呪われた装備を着けている。
そんな世界。
様々な冒険者が集う街で、ある冒険者が広場に立て札を立てつぶやきを書く。
「明日、呪われた装備だけのドレスコードで舞踏会を催す。
参加費100ゴールド。
参加者にはビンゴゲームで…。
私の作ったはぐれメタルの装備をプレゼント。
場所は霧の古城。」
これは面白そうだ。
バトルや魅力ではなく、ビンゴゲームで決まるなら、レベルの低い私にもチャンスはある。
私は自宅タンスの装備コレクションから、お気に入りの呪い装備で参加する事にした。
当日。
会場は冒険者で溢れている。
皆、様々な呪い装備で舞踏会に来ていた。舞踏会だけあって皆動き易い軽装備だ。
しばらくすると、ビンゴゲームでも始まるのだろうか?。
主催者が皆の前に現れこう告げた。
「皆様、ココでサプライズゲストを紹介しよう…。
別次元からの大魔王!。
デスピサロだっ!!。」
ヤバい。
この舞踏会は、魔王召喚出来る悪党冒険者の冒険者狩りの罠だ。
モンスターを育てるには、冒険者狩りが手っ取り早いのだ。
この手の手合いは、そこらのモンスターよりタチが悪い。
舞踏会に鎧や剣を持ってはドレスコードに引っ掛かるので参加出来ない。
呪われた装備だけなので、武器を持たずに来た者も少なくない。
主催者が舞踏会を催したのはこの為か…。
ナイフや鞭、素手で果敢に挑む者もいるが如何せん相手が強すぎる。
次々と冒険者が狩られ、別次元の魔王の成長の糧となっていく。
魔王の障気でモンスターまで集まりだし、辺りはもう阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
冒険者は時に勇者と持てはやされ、逃げずに闘おうとするばかりだが…。
私は時に勇気を持って逃げるのも、勇者だと思っている。
私はこの場を逃げる事にした。
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