プロローグ

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 まさか俺にこんな日が来るとは思っていなかった。  そう思い始めたのは今年、いやもう去年か。高校生になった時にそう思い始めた。  俺には大分変わったところがある。  俺はそのせいで苦労してもいたのだが、これはこれで良かったと思える。こともないな。  やはり要らないと思う。俺が持っているとある能力は。  あってもなくてもいいならば、持っていたいという人間と、要らないという人間がいるだろう。  それはものによるが、これに対しての俺の答えは後者だ。  だが、取捨選択は俺には出来ないらしく、俺はこれまで諦めつつ生活してきた。  諦めたのは能力を持っていることでもあるが、他にもある。  そのもう一つの諦めたものが、今日まさか俺に起こると思わなかった出来事と関係している。  高校生になってからとは言ったが、高校生になったから諦めたわけではない。  俺の状態が変わったからだ。  俺の状態が変わったといっても、俺の今までを知らないやつが聞いたらピンとこないだろうが。  とりあえず、俺は今で言うと去年の十二月から少し日々が変わった。これだけは言っておく。  物事は連鎖的に起こることもあるらしく、俺が一つのあることをしたことでまた違う一つの出来事が起こり、というようになった。  それが俺のここ三ヶ月か四ヶ月の出来事。  もう学校生活の一年が終わろうとしている。  残念ながら少し北の方にあるここは、桜が咲くにはまだだろう。  それでも、年の移り変わりの一年ではなく学校生活の一年としては、桜というのは終わりと始まりの象徴だ。  どうせなら全国的に咲いて欲しい。  そんな物思いに耽っている俺は、自分の部屋にいる。
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