プロローグ

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 窓から見えるのは太陽によって溶かされた雪の名残と、光を反射させる三角屋根。  北の方は雪が落ちるように三角屋根は常識で、さらに寒さ対策に窓は二重構造だ。  俺は窓から目を離し、部屋の中を見た。  そこには何人かの人間がいる。親友、友人、知り合い。  人間人間と俺は言っているが、俺も人間だ。  別に区別をつけるために言っているのではなく、世間一般のヒト科の生物と呼ぶのを避けているだけだ。  他に彼らをなんと呼べばいいか。上手い纏め方が見つからない。  括ってしまえば彼ら、彼女らになる。  そしてその彼ら、もしくは彼女らは、俺の日々を変える歯車のようなものになった。  物事を連鎖的に起こす歯車に。  この光景が、俺にとって起こるとは思わなかったことである。  別に彼らの仲が悪いわけではない。知り合いを家に招くという行為が、高校生になってから俺に起こるとは思っていなかったのだ。  どういうことだ、とそろそろ問われそうだ。  普通の光景じゃないか。どこも変なところなどないではないかと。  その答えも出したいところだが、俺の耳にインターフォンの音が聞こえた。  インターフォンの人物に予想は全くつかない。  訪問販売、宗教勧誘、宅配便、その他。  なんとなくその他でないかとは思っている。  俺はどうしようか迷った。わざわざ行かなくてもいい。  無視したところで、中に人がいるかはわからない。  車は停まっていない。冬のため交通手段も徒歩。  しかし重要な客だと困る。  俺は仕方ないと思いながら玄関へ向かうことにした。
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