あなたと同じ

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いつものように部活のサッカーを終え、部室に戻る。 「汗臭い…」 これから愛しの彼に会うから汗臭いのは嫌だ。 制汗スプレーでもしようかな プシュー… シトラスの香りに包まれる。 俺はこの香りが好きだ。 いつもは独占欲の強い彼、会長の上総さんといるため上総さんの香りが染み付いて離れないが、たまには俺だって好きな香りに包まれたい。 部室には俺一人。 他の奴らは直ぐに帰って行った。 上総さんとの待ち合わせは7時。 今は6時半。 まだ間に合うな。 制服に着替えようとすると突然開かれる部室の扉。 「悠!」 「あれ?待ち合わせはまだですよ?上総さん」 「早く会いたくなったから」 「俺まだジャージなんですけど…」 「どんな姿でもいい。ところでその手に持っているのは何だ?」 俺が今手に持っているのは先ほど使った制汗スプレー。 流石お坊っちゃま、こういうのに縁がないのか。 「制汗スプレーって言うんですよ。汗の臭いを抑える効果があって香り付きの…」 とここまで言いかけて思い付いた。 上総さんは結構プライドが高い。 「上総さん、これ、使ったこと無いんですか?」
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