それでも少女は嘘をつき続ける

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1.  病院というのは人が死ぬところだと思う。  ...というのは言いすぎかもしれないけれど。    突然だけど、僕にとって“病院”というのは『死ぬのを待っているところ』位の認識しか無い。    病院というのは死ぬ人よりも生まれる人が多い、というのは聞いたことがある。    実際にそんなに人がバタバタと倒れていっては、病院なんて必要なくなるし、実際死ぬ人のほうが多かったりしたら人口減りまくりだ。    ただここは産婦人科などではなかったし、この階に入院しているのは比較的入院期間が長い人達ばかりである。    入院、といっても骨折とかじゃなくて、いわゆる、そう  ____治らない病気。  持病、とかって言うのかな。元から持っていたりするもの。  いつ死ぬかわからない、は言いすぎかも知れない。  ただ、いつかは死ぬ、症状が出れば死ぬ可能性がある、位の緊張感があるのは確かだと思う。    本当はどうかなんて、僕は知らないけれど。  多分、そんな感じ。    だからそれは彼女も例外ではなくて。  治らない病気を持つ彼女。 「私、多分あと少しで死んじゃうかなー」  なんで  なんで    ____なんでそんなに悲しそうに笑える? 「だって……そうでもしないと、私、とっくに壊れてるよー?」  治らない病気をもつ彼女と  毎年四月に入院する僕。  2週間だけのお友達。  お互いの名前も知らないような関係。 「じゃあ、今日も楽しいお話ししよっかー」 「……いいよ」  ____また一つ嘘を吐いて。
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