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「続けて…?」 後ろにはまだ「彼」の気配を感じる。 ドキドキが全然おさまらない。 「…はい…」 あー!もう! 10代の小娘じゃあるまいし! いい年したオバチャンが…! 集中しなきゃ…! 集中!集中!集中! 一つ大きく深呼吸して気を引き締めてから画面に映し出される患者の心臓の画像に意識を戻した。 ――数分後… 「はい、終わりましたよ。看護師さんにお迎えにきていただきますからお待ちくださいね。」 「…」 患者の衣類を丁寧に直しながら声をかけた。 患者の男性の意識レベルでは当然、返事は…ない。 「もしもし、藤堂です。心エコーの検査終わりました。お迎えお願いします。」 受話器を置きチラと横を見ると白衣を着た男性がポケットに手を突っ込んだままこちらを見ていた。
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