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「…この心電図…やっぱり…」
渡した心電図を見た先生は眉間に深い皺を寄せた。
「よし…すぐに、心カテをはじめよう。」
そう言って立ち上がる先生。
背後では救急隊員が、では失礼します。と言って救急室から去っていく。
「あの…先生一人でやるんですか?」
やはり介助に看護師やレントゲン技師がいないといくらなんでも無理だ。
「…いや、それはできない」と言葉を切り先生は続けた。
「…藤堂さん…
君が…手伝ってくれればいい」
「!
…わ、私が?!
む、無理です!」
「時間がない。
それに…君なら大丈夫だ。」
手の内側にじわりと汗をかいてきているのがわかる。
「君なら大丈夫だ。」
もう一度言うと先生は
私の頭をクシャと撫でた。
「いえ!
前職で数回介助につきましたが、あくまで数回なんです!数回!」
アワアワと訴える私を見ずに
「なお結構」
先生はニッと笑いストレッチャーを心カテ室に向かって押し始めた。
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